11/19/2011

【Vol.5 Pyramid Structure】


【Vol.5 Pyramid Structure】

ピラミッドストラクチャーとは、主張とその根拠の構造のことで、通常は主張を頂点として根拠がピラミッド状に配置されるため、ピラミッドストラクチャーと言います。ピラミッドストラクチャーの構成要素は「MECE」であることが基本となります。以下に、例を記載します。






ピラミッドストラクチャーは、「論理構成を図式化できる」ことと、「主張すべきことをサポートするために何をすればいいかが明らかになる」ことがメリットと言えます。では、具体的にどうやってピラミッドストラクチャーを構成していけばいいのかについて書いてみます。


まずはじめに、ピラミッドストラクチャーは頂点の部分である「主張」を決定する必要があります。例えば、「売上を伸ばすために広告宣伝費に充てる投資額を増やすべきか」という議論であれば、答えとしては「増やすべき」or「増やすべきでない」のどちらかです。この答えの部分が的を外していると、その後の議論が成立しなくなってしまいます。すなわち、論理的に構造立てて考えるにあたり、課題が何かを正確に把握した上で、それに直接的に答えるような「主張」を決定しておく必要があるのです。


次に、論理のフレームワークについて考えてみます。結論である「主張」が決定したら、それを言うためにどんなことが言えればいいのかという「フレームワーク」を検討します。フレームワークは、MECEであることを念頭においておく必要があります。


例えば、「市場」「自社」「競合」という3Cのフレームワークを抑えておくことで、新規事業参入を提案したい場合の主張をサポートできるだろう・・というように考えます。ここで注意すべき点は、結論を導き出すにあたり最も効果的なフレームワークを選択する必要があるということです。3CやSWOT、PDCAのような代表的なフレームワークを必ずしも使うわけではなく、それぞれの状況に合わせたフレームワークを自ら作って考えていく必要があります。


簡単な例を挙げると、「小売店の店主の理解を得て、新商品を置いてもらう」という目的があるとします。ここで3Cの切り口で店主に説明をしても全く説得力がありません。店主が聞きたいのは、そのような企業戦略ではないからです。したがって、この場合は、店主の立場に立ち、売上がどれくらいか、収益はでるのか、労働効率は低下しないか等のような、小売店のメリットに重点を置いたフレームワークで、最も店主に響くものであるべきなのです。


ピラミッドストラクチャーの頂点に置く「主張」と次の階層のメッセージ部分で、伝えたいことの80%くらいが言えるような論理構造でなければ、相手に伝わりにくいメッセージとなってしまいます。そのために、フレームワークの選択は慎重であるべきなのです。


フレームワークを決定したら、氾濫する情報をグルーピングします。以下に、例を挙げます。「事業から撤退すべきか?」という課題に対する結論を導き出すための情報です。ここでは単純に3Cで情報をグルーピングしてみます。






グルーピングしたら、次に情報から言えるメッセージを抽出します。抽出する際に、先日のロジカルシンキングの記事でも扱った「演繹法」や「帰納法」を使います。ここで重要になるのは、いかに価値ある解釈をしたメッセージを導き出すかということです。単なる要約や状況の説明に終始しないように注意しなければなりません。以下に、抽出例を挙げます。





メッセージを抽出したら、今度は逆にきちんと情報がメッセージの根拠になっているかを確認します。





最終的に、3Cのフレームワークでそれぞれ導いたメッセージから以下のように結論づけます。





最終的に構成したピラミッドストラクチャーは以下になります。





最後に、ピラミッドストラクチャーのポイントをおさらいします。
①課題に対して、直接的に答えるようなフレームワークになっているか。
情報を整理しやすいフレームワークにするのではなく、課題に対して直接的に答えられるようなフレームワークにします。特に、3CやSWOTのような代表的なフレームワークを使えばいいというのは安易です。主張を聞いてもらう対象が(聞き手)が誰で、何を伝えたいかという視点でフレームワークを構成するのです。


②メッセージの抽出は、課題の結論に向けた内容になっているか。
情報から抽出したメッセージは、結論をサポートする根拠になります。情報を整理するだけ、ちゅうしょうかしただけ、列挙しただけにならないように気をつける必要があります。

③結論(主張)とその下の階層(根拠)だけで、言いたいことが大体理解できるか。
二段目以降の階層まで言及しなければ相手に伝わらない場合、メッセージの抽出が甘かったり、論理破綻が起きている可能性があります。

④「So what?」「Why so?」
この二つのが自然に繋がるような内容になっているか、気をつける必要があります。演繹法や帰納法に基づいたチェックを怠らないようします。

⑤反論者の立場でも考えておく。
上記で挙げてきた例は、α事業に参入すべきという結論に至っています。しかし、実際のシーンでは多くの場合、意見が別れ、反論する人がいます。そうした場合、あらかじめ反論されうるだろうポイントを入念にチェックしておく必要があります。そのため、反論者の立場に基づいた論理構造も考えておくことがベターです。


このように、ピラミッドストラクチャーは簡単に見えますが、なかなか緻密で丁寧さを求められます。あらゆる方向から主張に対して捉える必要があります。次回は、代表的なフレームワークについて書いていきます。





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