まず、ユーロの問題を解消するためには、ユーロ共同債の発行が一つのポイントになるのではないかと、僕は思います。ユーロ共同債が発行されることによって、国債が一本化され、ユーロ圏の財政問題はかなり解決されるのではないでしょうか。
ユーロは一般的に言われるほど売られているわけではないようです。その証拠に、実効為替レートについてもユーロはそれほど大きく下落していません。また、ユーロが崩壊するという説についても、可能性としては非常に低いと考えられます。
もしギリシャがユーロから脱退し、本来の自国通貨を復活させたとします。一晩で通貨が切り替わることになりますが、これを目の当たりにしたイタリアやポルトガルのような国家の国民がどういう行動を取るかは明らかです。ギリシャと似たような状況の各国の国民は、「自国でも同じことが起きるかもしれない。」と危機感を感じ、銀行に置いてある預金を取り崩し、ユーロ紙幣をドイツの銀行に預金する等してしまう可能性があります。そうなると、その後がどうなるかは明白です。
逆に、ドイツのようなユーロ圏内の大国が脱退するケースも可能性としてはあります。しかしこのケースも可能性は低いと言えます。というもの、もしドイツが脱退すれば、ドイツ国内の輸出産業が世界的に価格競争力を失ってしまうというリスクがあり、脱退によるインセンティブは大きくないからです。そもそも、現在のユーロの問題は、国債が問題の中心で、通貨が問題ではないのです。
とはいえ、ユーロが積極的に売られることにはならないと、僕は考えます。なぜな欧州の金融機関が自己資本比率を高めることを狙い、保有している対外資産を売却し、自国に通貨を戻すユーロ買いが起こるとされるからです。ユーロの混乱は、米ドルを強い通貨にするので、ユーロ/米ドル、ユーロ/円ではユーロ安になることが考えられますが、円や米ドルに対してユーロが下落するというわけではないと思います。
ユーロの債務危機の問題が解消しさえすれば、円や米ドルが売られていくので、ユーロや米ドル以外の各国通貨に対して円は下落すると考えられます。しかしながら、米ドルが対円で下落し続け、1ドル70円を割り込むことも可能性としてはありえるのではないでしょうか。