リーマン・ショック前が1ドル110円前後でした。そして現在、1ドル76円前後です。ここ数年で円高が進んだことは明らかです。更に、3.11の東日本大震災もあり、円高は加速していきました。世界的な金融危機や震災等により、日本経済にとってはネガティブな材料ばかりなのにもかかわらず、なぜ円高が進んでいるのでしょうか。原因としては2つあると僕は思います。
まず、一つ目の原因は、米ドル/円相場での円高は、「米ドル安」に拠るところが大きいと言えます。実効為替レートを見ると、米ドルは最低水準にあります。世界最大の経常赤字国で、純債務国である米国がゼロ金利政策を採っているため、他の通貨に比べてドルが弱い通貨になっていると言えます。本来であれば、1ドル90円程度が均衡レートだと思いますが、世界一の経常赤字国がゼロ金利政策を行うことが原因で、大幅に乖離する形で米ドルが売られていると言えます。
次に2つ目の原因として、日本が円高になりやすい経済構造となっていると言えます。日本の経済成長は以前に比べ、大幅に後退しています。しかし、経常黒字であり、更に世界中に資産を持っている世界最大の純債権国です。日本や世界経済にネガティブ材料があると、海外から日本へという金の流れが増え、逆の日本から海外への金の動きが滞ります。現在、世界経済は非常に不安定な状況にありますが、その結果ゼロ金利政策により弱体化した米ドルと、一層強くなる要素を得た円という組み合わせを考えると、米ドル/円の為替は、米ドル安、円高の傾向になるのです。
このように、日本は経済成長が後退し震災の影響等ネガティブ要素が多いことで、必ずしも円安になるとは限りません。各国の根本的な国の事情の上に更に様々な要素が絡み合い、そして各国通貨の力関係を相対的に見ることで、為替の動向が見えてくるのではないでしょうか。
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