2/06/2012

為替予想



まず、ユーロの問題を解消するためには、ユーロ共同債の発行が一つのポイントになるのではないかと、僕は思います。ユーロ共同債が発行されることによって、国債が一本化され、ユーロ圏の財政問題はかなり解決されるのではないでしょうか。


ユーロは一般的に言われるほど売られているわけではないようです。その証拠に、実効為替レートについてもユーロはそれほど大きく下落していません。また、ユーロが崩壊するという説についても、可能性としては非常に低いと考えられます。


もしギリシャがユーロから脱退し、本来の自国通貨を復活させたとします。一晩で通貨が切り替わることになりますが、これを目の当たりにしたイタリアやポルトガルのような国家の国民がどういう行動を取るかは明らかです。ギリシャと似たような状況の各国の国民は、「自国でも同じことが起きるかもしれない。」と危機感を感じ、銀行に置いてある預金を取り崩し、ユーロ紙幣をドイツの銀行に預金する等してしまう可能性があります。そうなると、その後がどうなるかは明白です。


逆に、ドイツのようなユーロ圏内の大国が脱退するケースも可能性としてはあります。しかしこのケースも可能性は低いと言えます。というもの、もしドイツが脱退すれば、ドイツ国内の輸出産業が世界的に価格競争力を失ってしまうというリスクがあり、脱退によるインセンティブは大きくないからです。そもそも、現在のユーロの問題は、国債が問題の中心で、通貨が問題ではないのです。


とはいえ、ユーロが積極的に売られることにはならないと、僕は考えます。なぜな欧州の金融機関が自己資本比率を高めることを狙い、保有している対外資産を売却し、自国に通貨を戻すユーロ買いが起こるとされるからです。ユーロの混乱は、米ドルを強い通貨にするので、ユーロ/米ドル、ユーロ/円ではユーロ安になることが考えられますが、円や米ドルに対してユーロが下落するというわけではないと思います。


ユーロの債務危機の問題が解消しさえすれば、円や米ドルが売られていくので、ユーロや米ドル以外の各国通貨に対して円は下落すると考えられます。しかしながら、米ドルが対円で下落し続け、1ドル70円を割り込むことも可能性としてはありえるのではないでしょうか。



2/03/2012

円安へのきっかけ



円安に動くにしても、良いケースと悪いケースがあります。
良いケースで円安になるのは、日本や世界経済が好転し、日本や世界中の投資家が積極的にリスクを取るような環境になることではないでしょうか。一方、悪いケースで円安になるのは、日本の経常収支が黒字から赤字に転落することや、対外純資産が取り崩されること、そしてインフレが進むこと等が悪いケースに該当します。


現在の円を取り巻く環境について整理してみます。現在日本の経常収支は黒字ですが、減少傾向にあります。これが赤字に転じれば円安になる可能性があります。しかし問題は、250兆とも言われる対外純資産です。これほどの規模の対外純資産が一気に失われることは無いので、いくら経常収支が減少傾向にあっても、しばらくは円が強い状態が続くのではないかと考えられます。


とは言え、円安の方向に向かうことももちろん考えられます。例えば、日本の景気が回復方向に向かった場合、日本から海外に積極的な投資が行われるため、円売りが促されるということもあります。そうするとお、徐々に円安が進むこともあります。


その観点から見ると、現在のユーロ債務危機の問題が解決すれば、日本の景気も徐々に回復に向かい、海外への投資が積極的に行われるようになることも、充分に考えられます。したがって、ユーロ債務危機の問題の解決は、円安のきっかけになると、僕は考えています。


ただし、ここで一つ注意しておきたいことは、"米ドル/円"と"クロス円(米ドル以外の通貨と日本円のペア)"の動きが異なるということです。クロス円については、円安が進むと思いますが、米ドル/円については、むしろ円高になる可能性がまだあります。理由としては、米ドルが非常に弱い状態にあるからです。先日の【円高の原因】の記事中でも挙げましたが、米国は世界最大の経常赤字国で純債務国です。更にゼロ金利政策を続けていることもあり、この状況下で米ドルが対円で上昇する可能性は低いのではないでしょうか。ユーロ債務危機の問題が解決することで円が売られると思いますが、それ以上のペースで米ドルが売られることで、米ドル/円で見た場合、円は米ドルではほとんど売られないということも考えられます。


この米ドルが積極的に買われるようになるケースとしては、2つの条件のもとにありえます。ひとつは、米国の経常収支の赤字額が減少し、黒字転換の可能性が見えた場合。そしてもう一つは、米国の金利水準が上昇傾向になることです。しかし、一つ目の経常収支については可能性が低いと考えられます。2つ目の金利水準についても、景気が回復すれば上昇はするとの見方がありますが、需給ギャップがあまりにも広がっているためん、なかなか金利上昇には転じないのではないでしょうか。

※需給ギャップ
企業の生産設備や労働力、技術力をフル稼働した潜在的な実質国内総生産(GDP)似た意思、実際の需要を反映したGDPがどれだけ離れているかを示す指標。別名GDPギャップ。


そう考えると、米ドルが積極的に買われる要因がまだ見えてこないため、米ドルに対して円安が進むまでにはかなりの時間がかかると、僕は思います。






Bill Gates?!










Bill has been working at Apple store in Osaka as Mac Genius?

Actually, his name is "Bob Takahashi", a second-generation Japanese-American.

Everyone, I found this was a joke...sorry for the confusion...








2/02/2012

円高の原因



リーマン・ショック前が1ドル110円前後でした。そして現在、1ドル76円前後です。ここ数年で円高が進んだことは明らかです。更に、3.11の東日本大震災もあり、円高は加速していきました。世界的な金融危機や震災等により、日本経済にとってはネガティブな材料ばかりなのにもかかわらず、なぜ円高が進んでいるのでしょうか。原因としては2つあると僕は思います。


まず、一つ目の原因は、米ドル/円相場での円高は、「米ドル安」に拠るところが大きいと言えます。実効為替レートを見ると、米ドルは最低水準にあります。世界最大の経常赤字国で、純債務国である米国がゼロ金利政策を採っているため、他の通貨に比べてドルが弱い通貨になっていると言えます。本来であれば、1ドル90円程度が均衡レートだと思いますが、世界一の経常赤字国がゼロ金利政策を行うことが原因で、大幅に乖離する形で米ドルが売られていると言えます。


次に2つ目の原因として、日本が円高になりやすい経済構造となっていると言えます。日本の経済成長は以前に比べ、大幅に後退しています。しかし、経常黒字であり、更に世界中に資産を持っている世界最大の純債権国です。日本や世界経済にネガティブ材料があると、海外から日本へという金の流れが増え、逆の日本から海外への金の動きが滞ります。現在、世界経済は非常に不安定な状況にありますが、その結果ゼロ金利政策により弱体化した米ドルと、一層強くなる要素を得た円という組み合わせを考えると、米ドル/円の為替は、米ドル安、円高の傾向になるのです。


このように、日本は経済成長が後退し震災の影響等ネガティブ要素が多いことで、必ずしも円安になるとは限りません。各国の根本的な国の事情の上に更に様々な要素が絡み合い、そして各国通貨の力関係を相対的に見ることで、為替の動向が見えてくるのではないでしょうか。